全天パノラマ天体写真 Update – Hiroshi Kano

全天パノラマ天体写真 Update

8月になって作業していた360°パノラマ天体写真を、とりあえず、全天つなぎ合わせた。サンプル画像をkuulaという360バーチャルツアーソフトで処理し、Webで見えるようにした。サイトはこちら

この360°天体写真は、アマチュア天体写真家の平川氏が、八ヶ岳とオーストラリアのアリススプリングで撮影された1010枚の天体写真から合成した。平川氏については、2013年のWeb記事が見つかった。1010枚の天体写真は、ニコンの天体撮影用デジタル一眼レフカメラD810AにAF105mmF1.4レンズを装着し、絞りF4.5で撮影されていた。D810Aの有画素数は3635万画素(サイズLで7360×4912)である。

提供された一枚一枚の画像は、概ね、4,000画素×5,000画素の縦長画像である。水平(赤経方向)には55%程度の重なり、垂直(赤緯方向)には10%程度の重なり率で撮影されている。現画像のままで、360°正距円筒画像を生成すると、133,900×66,950画素程度の巨大画像になる。また、画像処理はmatlabで行ったが、手元の環境で確保できる配列のサイズは100,000×50,000×3色×’uint8’程度が上限であった。最終的には、可能なサイズの上限を狙うとして、今回の予備実験では、原画像を1/5程度に縮小し、28,800×14,400の正距円筒画像を合成した。行った処理の詳細は、後日、公開する予定である。

360°の正距円筒画像でバーチャルツアーを行う簡単な方法は、リコーがTHETA用に無償で提供しているパソコンアプリを使うことである。Webで公開する方法としては、360°画像から、Premier Proなどを使って360°動画を生成し、それをYoutubeに360°動画としてアップロードする方法や、360°バーチャルツアーサイトを生成できるアプリを使う方法などがある。今回は、Kuula Proという有償アプリを使うことにした。

Kuulaで扱うことができる360°正距円筒画像の上限サイズは16K×16Kとのことであった。今回は最大で、14,400×7,200の画像をアップロードした。概ね、良好に360°天体写真を閲覧できている。課題として、次のようなことがある。

  • 隣接画像の位置合わせ精度が不十分なため、画像境界の天体が二重になったり、消滅する。
  • 隣接画像の画像境界が目立つ。
  • 360°天体写真の用例として正距円筒画像に星座を重ね書きしたが、北天・南天に近づくと、直線が湾曲して不自然になった。

今後の予定として、上記などの課題を解決することと、ヘッドマウントディスプレイを使った仮想体験システムの構築などがある。いずれも、技術的には解決・開発可能である。今後は、時間をみて継続する予定である。